大宮冬洋さんの「お見合いおじさんが聞く!」その7!

いや〜、お見合いのセッティングって難しいよね〜〜。

Omioji 7

 僕の数少ない趣味の一つは「恋バナ」です。食事会を主催することも好きなので、独身男女の出会いの場をセッティングしちゃうこともあります。2014年の春からは「お見合いおじさん」になることを宣言して、その活動報告を日経ウーマンオンラインにて連載させてもらっていました。成婚率ゼロのまま連載は終了しましたが、我がオネット(大宮ネットワーク)メンバーのその後は気になりますよね。盟友のイラストレーターつぼいさんと一緒に、彼らを引き続き応援していきます!

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さすらいの知的風来坊VSときめきを忘れたエリート美女。お見合いの結果は?

 こんにちは。大宮です。僕が尊敬するお姉さんたちがやっているお見合いNPO「東京世話焼きおばさんの縁結び(略称:世話オバ)」からいただいた言葉の一つに、「人と人は案外出会えない」があります。狭い国土にたくさんの人が住んでいる日本では、ちょっと街に出るとたくさんの人とすれ違いますよね。びっくりするほど美しい異性に目を奪われることもあります。でも、その人たちと知り合って仲良くなることはほとんどありません。確かに「案外出会えない」のです。

 振り返ってみれば、20代は男女の出会いがもっとありました。特に20代前半。同世代のほとんどが未婚だし、学生時代からの友だちと会うことも多かったので、恋愛の可能性に満ちていたとも言えます。

 30代半ばにさしかかったあたりから出会いは急減しますよね。一緒に遊んでいた友だちが次々に結婚していくからです。一方の自分は「なんだか素敵な人がいるからとりあえずアタック!」みたいな勢いはなくなります。良くも悪くも落ち着いてくるのです。

 だからこそ、世話オバや僕のようにお節介をする人が必要です。もちろん、「結婚をするつもりはない」「自然に恋愛して結婚したい」という人を無理に巻き込んだりはしませんよ。それは余計なお世話というよりもセクハラですからね。

 僕は寂しがりなので結婚してからも毎週のように友だちと飲んでいます。我が家でのささやかな家飲みパーティーもほぼ毎月やっています。ライターとしての仕事は、いろんな人と飲み交わしながらのインタビューがほとんどです。他の人よりは「出会い」が多いほうだと思います。その中には、「この人はマトモだし愛嬌もある。ちゃんと働いているし、心身もほぼ健康。家族仲も悪くない。そして、結婚に前向き」と感じる独身者もいます。僕はすかさず我がオネット(大宮ネットワーク)のメンバーを思い出すのです。

「この人とあの人を引き合わせたらどうだろう。意気投合して結婚しちゃうかも!」

 妻によれば、僕にはマッチング能力とセンスが欠けています。とんちんかんな組み合わせをしてしまうことが多いのです。実際、2年半もお見合いおじさんをして、ほぼ毎月お見合いをセッティングしているのに成婚率はゼロですからね。

 でも僕は信じたい。マトモな独身者同士の出会いを作っているだけでも有意義なのだ、と。恋愛や結婚には至らなくても、見知らぬ異性と食事するのはときめくものですからね。お見合いや婚活パーティーで恋愛勘が鍛えられて、別の場所で良き相手を探し当てた人もいます(記事はこちら)。

 というわけで、先月も懲りずにお見合いをセッティングして来ました。ある会合で出会った加藤信彦さん(仮名、42歳)に僕はググッと来たのです。昭和の名わき役のように個性的で男っぽい顔立ち。朴訥としているようで立ち振る舞いはスマート。会合の後は、とても丁寧で知的なメールを送ってくれました。

 信彦さんは金融関係の専門職です。関西出身で、長く海外で働き、帰国してからも地方都市を転々とする「風来坊」生活を続けて来ました。現在は、専門知識を生かせる仕事を東京で見つけて会社員として働いています。

 僕はすぐにオネットメンバーの松永佐保子さん(仮名、35歳)を思い出しました。好奇心旺盛だけど恋愛にはおくてな美人。大手メーカーで総合職として働いています。彼女であれば、知的風来坊な信彦さんに「面白さ」を覚えてくれるのではないでしょうか。

 双方に打診するとほぼ即レスでOKをもらいました。いいリズムです。週末のランチ場所を探してくれるように信彦さんにお願いすると、グルメな同僚に相談して都内のレストランをチェックし、下見にまで行ってくれました。こういう心遣いとやる気は、お見合いおじさんとしても本当にうれしいです。

 当日は、ボーダー柄のTシャツにジャケットを羽織り、スラックスと革靴で決めてきた信彦さん。王道ですね~。ばっちりのスマートカジュアルです。

 一方の佐保子さん。いつもオシャレですよ。キレイな白いブラウスにグレーのスカート。美人度がますます上がっています!

 このレストランの名物だという魚料理を食べながら、3人で会食を楽しみました。SNS時代におけるビジネスマナーの話などから、信彦さんが住んでいた国内外の土地に関する話題へ。北海道の話になると、佐保子さんは前のめりで『水曜どうでしょう』(北海道テレビ制作の人気番組)への愛を語り始めました。面白い! さきほど僕は佐保子さんが信彦さんに面白さを覚えてくれることを期待しましたが、逆も重要ですよね。信彦さんも佐保子さんに興味を持ち、「もっと一緒にいたい」と感じることが必要です。

 お見合い後に信彦さんからお礼メールをもらいました。佐保子さんに「キレイで気立てが良く、楽しいコミュニケ-ションの取れる素敵な方」という印象を持ったとのこと。良かった! 佐保子さんのほうは相変わらず「自分の感情が良くわからない」と足踏みをしているようです。でも、信彦さんには少なくとも「いい人だけど生理的に無理」とは思わなかったんですよね。ならば一度ぐらいはデートしてみてください。何らかの気づきがあるはずです。佐保子さん、とりあえず一歩踏み出しましょう!

著者プロフィール

大宮 冬洋
大宮 冬洋
 1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
 高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも月に一度は西荻に「里帰り」している。
 2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。平日の半分ほどは東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。

<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)