大宮冬洋さんの「お見合いおじさんが聞く!」その10!

今回で一区切り!来年からヤフーニュース個人で連載しますー!

お見合い

僕の数少ない趣味の一つは「恋バナ」です。食事会を主催することも好きなので、独身男女の出会いの場をセッティングしちゃうこともあります。2014年の春からは「お見合いおじさん」になることを宣言して、その活動報告を日経ウーマンオンラインにて連載させてもらっていました。成婚率ゼロのまま連載は終了しましたが、我がオネット(大宮ネットワーク)メンバーのその後は気になりますよね。盟友のイラストレーターつぼいさんと一緒に、彼らを引き続き応援していきます!

佐保子さんが休会! 結婚は「エルメスのバッグ」みたいなもの?

 今年3月から10回に渡って「お見合いおじさんが聞く!」を毎月お届けしてきました。お世話をしている本人たちも記事を読んでくれているので、お見合いの結果や双方の感想などは書けないことも多いのです。長く読んでくれている方は、「あのお見合いの結果はどうなったんだろう」「退会したわけではないあの人。最近は記事に登場しないな。どうしているんだろう」と疑問に思うこともあるでしょう。書いていない部分は、優しい想像で補っていただけると幸いです。

 来年からはヤフーニュース個人に舞台を移して、このお見合いおじさん活動を「楽しい趣味」として全国にアピールしていく予定です。ホームページ上では最後となる今回は、ちょっと寂しいけれど爽やかな内容をお届けします。我がオネット(大宮ネットワーク)に2年間も在籍してくれていた松永佐保子さん(仮名、35歳)が休会することになったのです。

「いい方ばかり紹介していただいたのですが、一歩踏み出せない自分にガッカリしてしまいました。でも、私は『とりあえず付き合ってみる』はできません。無理してやろうとするとすごいストレスを抱えてしまいます」

 ある土曜日のお昼時、僕が東京滞在中に愛用している門前仲町の喫茶店「東亜サプライ」で会いました。佐保子さんはなぜか晴れやかな表情。2年間のオネット活動で、自分の性質と気持ちがわかったようです。

「就職と結婚は似ているとよく言われますが、私は決定的に違うと感じています。結婚は生身の人間同士が気持ちを通い合わせること。私は長い時間をかけないと誰かの面白さや魅力がわからないので、結婚を前提とした出会いの場には向いていません」

 勉強熱心な佐保子さんは、僕が以前にマイナビニュースで連載した「木曜からジュテーム」を参考にして、身近で3人の好きな男性を設定したそうです。いずれも職場の同僚で、半年以上は一緒に仕事をしている人でした。

「3人とも既婚者です(笑)。共通しているのは、穏やかで紳士的。業務メールの返信で、社内なのに『ありがとうございました』とちゃんとお礼を書いてくれます。仕事ぶりは可もなく不可もありません」

 超のつく大手企業で働いている佐保子さん。仕事をバリバリやっている人はエリート主義であることが多いと指摘します。

「マイペースな私はエリートからは見下されてしまいます。いじられるのは好きだけど、見下されるのは嫌なんです……」

 ただし、佐保子さんは魅力的な既婚者を「略奪婚」するような意志は皆無です。それどころか、結婚自体に積極的とは言えません。

「結婚している人はうらやましいですよ。何よりそのステータスがうらやましい。でも、女性だけが家事や育児を負担している結婚は地獄だなとも感じます。私にとっての結婚はエルメスのバッグみたいなもの。持っているというステータスはうらやましいけれど、どうしても手に入れたいものではありません。このまま一生一人でもいいと思っています」

 僕は離婚経験者なので、「無理にでも結婚しよう」なんて言いません。結婚相手を間違えると、その相手と自分も含めていろんな人を傷つけることになりますからね。一方では、今のところ穏やかな再婚生活を送っているので、赤の他人と家族になることの面白さと安心感も知っているつもりです。

 佐保子さん、お見合いが向いていないという気持ちは十分に伝わりました。オネットは休会にしましょう。いつでも戻ってきてください。ただし、「エルメスのバッグ」の中にも佐保子さんの心と体に寄り添ってくれるようなバッグがきっとあるはず。もしかすると、それは中古品(離婚経験者)かもしれません。いろんなバッグがある場所に気軽に出かけることは続けてくださいね!

著者プロフィール

大宮 冬洋
大宮 冬洋
 1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
 高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも月に一度は西荻に「里帰り」している。
 2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。平日の半分ほどは東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。

<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)